「月にのぼる者」
芦田愛菜のログ
(庭)
「ああ、表にこんな小さな猫が」
(庭)
「駒さん、どうしました?」
「父上が?今朝方、東庵先生に鍼をうっていただこうかと申しておりましたが…。難しい話というのはどれほど難しいのですか?」
「私も、人には申し上げられぬ話があります。でも、駒さんになら言えるかもしれません」
「父上が私に、嫁に行く気はないかとン尋ねられたので、ないとお答えしたのです。母上がなくなり、父上一人を残して…嫁には行けませぬ」
「父上が戦に行かれるのを、母上はいつも、父上の姿が見えなくなるまで見送っておいででしてた。私もそうしてさしあげたいのです。それが、戦にお供できぬ、私のせめてもの務めだと…」
「そう。一生」
「わかってます。だから悩んでしまうのです。どうすればよいのか…」